
石を積んでいると答えのないパズルをして気がしてきて、
気が遠くなることがよくある。
あーでもない、こーでもない、石をくるくるまわして角を削って、
たたいて、ガリガリ、コンコン。
石は重い。特に、石積みをし続けた夕方は、朝感じた1.5倍くらい重さが増していく。
しかし、たまに、天から光が差すかの如く、
「次はこの石、その次はこの石」と
石が光っているように誰かが教えてくれることがある。
そんな時はたたいたり、削ったりしなくても、
パズルのピースのようにぴったり石がはまっていく。
「そうか、さっき削った石も本当は違う場所を待っていたのかもしれない。
僕のわがままで本当はそこじゃない場所に据えてしまったのかもしれない。」と思い、
さっき削った石を見ると僕が削った部分が痛々しく見える。
もちろん血を流したりはしないが、たたかれ削られ、石がなんとなく拗ねた顔をしているように見えてきた。
暗くなってきたのでその日は仕事を終えて、帰りの軽トラの中、明日あの削った石を据え代えようと思った。
翌朝、もう一度、昨日拗ね顔をしていた石を見た。何も言わずそこに居る。
しかし、昨日とは表情が少し違う気がする。少し押してみた。動かない。
もう少し力を入れて押してみた。やはりくっついたように動かない。
少し離れたところからみたら、その時、雲の割れ目から朝日でてきて、
すっと石積みに光が差し、石の表情があらわれた。
皆、仲良さそうに座っている。
「おれはここにおってもかまへんで」
そんな顔で石が座っているのを見て、なんとなく笑えた。
「なんで上から目線やねん」と思いながらもうれしかった。